kshinshin's blog

ヨモヤマ話

映画「リベンジ・オブ・グリーンドラゴン」

蛇頭というのは福建省あたりの密入国をビジネスに据えた黑社會の一派である。この蛇頭は日本への密入国でも話題にされ、記憶している人は少ないかもしれないが、大森駅前の公園で惨殺死体が見つかった事件があった。この下手人として疑われたのが蛇頭のメンバーだった。中共開放政策の澱となった下層市民が、抜け出せない階層社会逆転のため、新天地を求めた。最初の渡航者は市民権を得て、同胞を救けるという漢人の心意気を利用した補助ビジネスを行っていた。搾取体制を整えたニューヨークへやってきた少年二人が、ギャング「グリーンドラゴン」に参加し、頭角をあらわす。彼らギャングの頭目はクールなNo.2、食料品店を商うNo.1の女主人が支配している。アジア系同士で鎬を削る町だけれども、ここらへんは19世紀のニューヨーク・ギャングスと変わらない。ギャングはずっと変わらない。

さて、グリーンドラゴンにも亀裂が走り、リンチ殺人、麻薬売買、無理な強盗によって主人公も追い込まれる。まず麻薬売買に関わった恋人の父、血気盛んな兄弟分の落とし前の問題だ。そして父を売ったボスへの復讐を考えた恋人。すべての事件に関わった主人公はボスを滅ぼすためにFBIに協力し、成功させる。だが、さいごの仇のために香港へ渡るのだが。

演出面ではそつがない。キャラクターでは若いボスが素晴らしい。眼が澄んでいて、立ち居振る舞いは物柔らかだが、この道の人にいないという異常性がじわりと出ている。だが、それ以外は、駆け足で語りすぎて、緩急がなく、あれれという形で終わってしまった。だけど佳作の部類で大健闘だ。