kshinshin's blog

ヨモヤマ話

映画「荒野の千鳥足」

だいたいそのタイトルで気にならないというほうが嘘で、こんな映画があるよと聞けば、観たくなるはずだ。少しでも映画にのめり込むタイプの人ならば。で、スコセッシだのエバートだのがいい映画なのかどうかちょっと判別しがたいコメントを出しているので、それも引きになる。

映画は途轍もなく辺鄙な場所の、場所のという他ないほど町と書くには不自然なところで務めている学校教師がシドニーへクリスマス休暇で向かおうとして、途中下車した街で、魔が差してしまい賭博で無一文になり、土地の連中と数日を過ごすというものだ。ビールを飲みまくり、なんだかいい人ばかりで、寡黙なニンフォマニア女性がいたり、医者だが変人がいたりとかする。それでカンガルーを撃ったりしていくうちに、急に錯乱気味に陥る主人公が、もうどうにでもいいという自棄になるが、いろいろあってシラフに戻るという話だ。

こう書いていて、そんなに面白い話でも、スコセッシが不快になりつつも感心頻りだったとかピンと来ないかもしれないが、観ればわかるタイプの映画であるので、観て欲しい。

色んな意味で道に迷った男が通過する話なので、飽きは来ないし、カンガルーの破損屍体とか、パブの混み具合や男社会の面倒臭さとかいろいろ、魅力じゃない見どころは多いのだ。

これが名画、迷画でもないので、気持の置所に困る映画であるが、しょうもないが、たいへんな目にあってきた男の土産話を聞いてる気がして、それで、感心してしまうというのなら、納得の映画である。

テッド・コッチェフは「ランボー」でもそうだが広い場所→部屋の隅っこという流れの運び方がうまい。というか好きなのだろう。

 

岸川真