kshinshin's blog

ヨモヤマ話

映画「ホーン」

アレクサンドル・アジャという監督は、自身の血肉にした70年代ホラーを焼き直して、うまいことやってしまう監督として認識している。 「ホーン」はそういったラインのなかにあって、ひょいと水面に顔を出した観がある「奇妙な味」の作品だ。

幼なじみの恋人を殺した容疑がかけられたハリポタのラドクリフ君が主人公。かれの無理にやさぐれた感じが良い。かれを励まそうとして飲んだ勢いでネテしまう幼なじみのウェイトレスもいい。俺なら、彼女と暮らすよと思ったほどいい。主人公は家族までも犯人だと信じているので、もういやな気分である。ただ表立っては家族が疑いを口にするわけではない。友人もしかり。モヤモヤしてると、彼に角が生えてくる。神への冒涜を行ったせいでもあるが、その角は周囲にホンネを開陳させる。ホンネと告白を混同してるのが、アジャらしい雑さだが、そこはそれで小ネタをさっさとみせて笑わせ、ラドクリフの真犯人探しへ焦点が行く。そこからは、まあ、本田博太郎絡みのサスペンス・ドラマの流れだが、ファンタジーとホラーとミステリをうまくブレンドしてみせた、飽きさせず、充分な復讐譚にしたのはアジャの力だろう。ラドクリフはやはりファンタジーがつきまとうのかと、やや、嬉しくも暗澹たる気にもなるのだが、次は、三大童顔俳優共演でイライジャ・ウッドトビー・マグワイアに加わり、エクスペンダブルズな作品をやってほしい。

 

岸川真