kshinshin's blog

ヨモヤマ話

映画「大いなる勇者」

ロバート・レッドフォードシドニー・ポラックのタッグ作。僕はこの二人だと「コンドル」に尽きると思うが、脚本参加のジョン・ミリアスの功績か、メロドラマではなく奇妙な山男の話になっていて面白い。

どうやら軍を抜けだした男がロッキー山脈麓へ現れ、山へ入る。そこで自活しようとするものの、なかなかうまく行かず、途中で先輩老人に拾われ、狩猟の腕を磨き、山で生きる術を学ぶ。旅の途中で先住民に襲われて生き残った少年を預かり、さらには先住民の酋長の娘と図らずも結婚する。だが、家族になった二人を武闘派先住民に殺されてしまい、復讐を果たすと、拝一刀ではないけれど、敵が刺客を送り込み、逃げては殺しの生活に入っていく。

男をロバート・レッドフォードが演じるが、なかなか凄みがありいい。また老人や、家族を失って気の触れた母親、頭の皮を剥がれるのを嫌いスキンヘッドにしたという山男など、登場人物の感じが良い。酋長の娘も少しずつ魅力を増していく見せ方が巧く、シドニー・ポラックは女優を撮らせたら、とくに本筋とは違う脇役の女優を撮らせたらうまいなあと思う。

標準的な上映時間だというのに「序曲」「インターミッション」がある。インターミッションは残り38分のところであり、主人公が人情やアメリカ人というしがらみに負けて、仕方なく軍隊を案内するところで、まあ、彼が鬼になる転換点の前なので、休みを入れるというのはわかるが、小説で考えるところの構成中盤の折り返し、なので、少し居心地の悪さを感じた。もしかすると、刺客と追いつ追われつの話が長尺で予定されていたのかもしれない。だとしたら、それは観たい。かなり怖い、魅力的な話になったはずだ。

 

岸川真