kshinshin's blog

ヨモヤマ話

映画「魔警 クリミナルアフェア」

リンゴ・ラムダンテ・ラム(ご指摘ありがとうございます)いう監督を手放しで褒めるほど、まだ僕は彼を信じてはいない。ジョニー・トーほど、出自や主張を理解できない変わり種であるからだ。その彼の「魔警」はニック・チョンが無慈悲な悪党を演じ、ダニエル・ウーが生真面目だがトラウマいっぱいいっぱいな、あぶない警官を演じている。

以下、結末まで触れることにするが、その結末の経緯は観て欲しい。ここには煩瑣なので書かないでおく。

鬼王団なる無慈悲な強盗団の頭目株であるチョンが傷を負って救急病院へ駆け込み斃れる。彼と血液型が同じダニエル・ウーは輸血を申し出て、命を救うが、特捜隊の面々には馬鹿にされ、罵られる。同期の婦警に引き上げられて二ヶ月後に現場復帰するが、あぶない警官だから敬遠される。病院をやっぱり無慈悲に脱出したチョンは再度強奪計画を立てて、仲間とヤマをはる。

警官隊とチョン一味が銃撃戦を続けているなかに、ダニエル・ウーもやってきて、無慈悲なチョンの攻撃に遭い、ダニエル・ウーの同僚が焼死する。ダニエル・ウーはそれからあぶなさが増して、無慈悲な瞬間も迎えるようになり、自身困惑の果てまで行く、その前後でチョンは裏切られて死ぬ。

チョンを追いかけることにしたダニエル・ウーはあぶないので、上司の婦警の姉がカウンセラーなので治療を受けるが、まったく効果はなく、ただあぶなさが増進し、加えてチョンばりの無慈悲を獲得してしまい、長年追っかけているはずの特捜隊より先に鬼王団に迫れてしまう。ダニエル・ウーとは血の繋がらない婆さんが死んでしまい、なんだかまた幻覚幻聴で罪悪感を抱え、あぶなくて無慈悲な警官が完成されて、一味を叩き潰すのだが、彼の悩みを知る婦警も裏切り者の警官も、その他もろもろ事情通が死に絶えて、ダニエル・ウーも成仏してしまうのだから凄まじく、あぶなくて無慈悲な終幕だ。

リンゴ・ラムの狙いはラストの字幕でわかるか、というとわからないので、安心だ。取ってつけたような、字幕での説経節は嫌いではない。そういう投げやりな手法は勇気がいる。周囲はやめろと言うだろう。だけどいいじゃないか、もうそういう話で。リンゴ・ラムがそう考えたかどうか知らないが、投げやりにくっつけてみたのなら、信頼できるフィルムメーカーだ。

 

岸川真