kshinshin's blog

ヨモヤマ話

怪獣と殺戮の日々で考える

GWは映画興行の宣伝文句で定着してしまった。シルバーウィークは秋。こっちはシルバーが年寄りをイメージさせてしまうからか、かなり廃れている。

個人事業者としてはあんまり関係がない連休だと思われがちだが、そうでもない。出版社などが休んでいるので、こっちも動きはしゃかりきになるわけでもない。なので、そこそこ休める。いま副鼻腔炎で困ってはいるが、治療期間に使えるわけだ。

長編の怪獣小説を大幅というか抜本的改訂している。同時に文芸誌の短編を2つ。

昨日やっとのことで「文藝」用の短編の直しが終わり、編集しているパンフレットの幾つかの文章を送る。

その間、ニュースはあまり見ないでいた。それもまあ、副鼻腔炎の前に、左下腹部が刺すように毎日、3回から4回痛み、身体を折り曲げるほどだったので、これはきっと、過敏性大腸炎かなにかと思い、養生していたからだった。

一ヶ月も痛むのは異常だと思い、一昨日に検査を受け、薬をもらい、鍼も行く。すると昨日から楽にはなった。たまに刺す痛みの弱いバージョン、ぼんわあという感覚が腹を走るが、怖くはない。検査の結果が潰瘍性大腸炎だったら嫌なのだが……。なので、日頃イライラさせられるニュースもチラ見。

地震や火山活動が世界的に活発化しているニュース、そして大阪都構想話。

大阪都構想はいいけれど、難波京が天災にあったこともあるわけで、災害での首都機能移転はあまり意味が無い気がする。保安面では警察庁、警視庁の昨日が損なわれた場合、大阪府が代替機能を持つというのは現行法でもあったと記憶するが。それよりも全国区で省庁、議会、経済活動、生産分野を分散させるほうが急務でしょう。環境インフラ整備での事業活性、建物そのものの移転に伴う土建の活性、地方自治の責任強化に繋がり、いいことは多いと思うんだけどね。都内の地価安定にも繋がるし、経済機構の移転で税収が増えるしね。保守政権ならそれをやれよなあ。大阪の構想に何か旨味があるわけでしょうかね。

安保法制の話は9条がらみになっては感情論優先の反対がクロースアップされ、整備される法の中身がわかんなくなるという向きがある気がする。ドローン騒ぎでも思ったが、なんか一点間違った視座で議論が湧いて、結果的に本論に辿りつけないという、安定の日本ルールがあるような気がします。政権は説明ベタが屯して、いろいろ言わず、文民統制をとっぱずして、防衛省の制服組のレクチャーもしくは公聴会を生放送し、翌日、外務省にも同様のことをやらせて、良い点、悪い点を議論させて、悪い点が良い点を上回ると判断されるなら議会でNG出せばいいじゃないかと。低投票率議会制民主主義なんか機能不全でやめちまえ、が持論の僕ですが、そう思いましたね。昨日は。

所詮、作家はカタギの人のようにマトモじゃない、嘘つきで、自堕落で、朝令暮改な人間ですから、あてにならない床屋政談です。

そういう意味では香山リカ先生、内田樹先生の炎上は、擁護にも値し、いっぽうでサゲにも値する話。知識人というものだって、そもそも戦前はどこか胡散臭いものであって、嫁にやりたくない(香山先生の場合は婿か)職業だったはず。まあ、立派な学校を建てたり、会社を興したり、事業を真面目にやったりすれば、例えば内村鑑三みたいに尊敬されたりする。夏目漱石のようにハイブラウな学歴、職歴から小説家、とりわけ大新聞の社員扱いなら、社会的に偉い先生と思われたりした。そういう流れはあったけれど大枠では出版・言論はヤクザな商売だったんで、乗っ取られたの虚言だの叩かれる香山リカ先生や錦鯉飼ってて清貧言うなの内田樹先生がことさらにぶっ叩かれるのは埠頭な気もする。嘘だって書けば、見苦しい言い訳だってするし、清貧ってことで感動して本を買ってくれる読者がいるので、儲けた気に入ったカネで魚も飼うだろう。これも安定の日本ルールで、本来、ぶっ叩かれるべき、ブラック企業の議員やら怪しい癒着していると噂される御用経済学者と信奉者の連中やその他いろいろの「悪」はぶっ叩かれない。看板が先に「悪」だから、どういうわけか見えないシールドが現れて、攻撃が弱いわけだ。

いっぽう、左翼(香山リカ先生も内田樹先生も左翼ではない。リベラル派だけれど、彼らはマルクス主義者でもないわけで、基本的に左右の話が、保守、超保守か穏健中道、革新シンパなのだが)は「正義の味方、弱者の味方」という看板があるせいか、分が悪い。で、叩かれた時のリアクションが生真面目だったり、下手に嘘を上塗りするからカッコが悪い。どうせなら「間違っちゃってすいません。私がセラピー必要ね!」とか「俺の鯉は下流生まれだからなあ」とか言えばいい(それが巧い面白いとは思えないが、いちおう例として)。そこも安定の日本ルール。

サゲる話としては、彼ら二人の先生が、左翼という枠で捉えられるなら、その勢力は右派が攻撃するよりも激しく、二人を排除、いや粛清してしまえばいい。けれど、それは行わない。生ぬるく擁護して、左派大衆の代弁者でいて欲しいと願う。これは有名人に集うだけの烏合の衆と誹られてもおかしくはない。粛清する人物が、彼らに取って代わり、メディアに露出し、中道・リベラルの意見を述べるべきだ。それが出来ない、タマがいないと思い込んでいる(タマは作られるものだ。香山リカ内田樹両先生もメディアが、信奉者が代弁者に仕立てた)ので「左翼がダメだ」と言われる。じつに草食系な左巻き界隈であると(あくまで彼らは中道・リベラルでしかないともう一回書く)、思うのだがいかがなものか。

かくいう僕は議会制民主主義に飽き飽きし、小説ではミリタリーや暴力を描き、胸糞悪い殺戮絵図を書くいっぽう、世界の貧乏人が連帯して革命が起きないとダメだと思う、ヘーゲルジジェク、バデュウ読みの腐れ左翼で真っ赤っ赤である。レーニン、スターリン毛沢東は「悪い面もあったが、良い面も多かった」などと書くことはしない。伝記的な意味は興味が無い。連中の考え方に学ぶことは多い、と書いて評価したい立場にいる。好戦的な赤なのです(「赫獣」書いたわけで、レッドには無限の愛着がある)。宮崎滔天北一輝大川周明の意味も重要視するし、民本主義は有効だとも思うわけでございます。

長々駄文を書いたけど、やっぱり胃腸によくないニュースばかりであるというのが結論ですね。

ヒースが急に気になって今度固め読みしてみようと思うこの頃。

遅きに失して文学のチャンピオン、大江健三郎「晩年様式集」を読み始め、おお、やっぱり短編連作の名手、気合もあるなあと感心している。「民のいない神」も面白いなと齧ってニヤニヤ。この辺のことは、また今度。

チャオ(「マップ・トゥ・スターズ」風に)!

 

岸川真