kshinshin's blog

ヨモヤマ話

映画「呪われたジェシカ」

南部の田舎町に精神を止んだ履歴のあるジェシカと夫、その友人が移住する。リンゴ園をもつ屋敷に住むのだが、当然のように町の老人に嫌われる。ここで包帯を巻いた老人が男しかいないとか、渡し船の船長らしき男に「あそこに住むのか」など言われるのはムードホラーの常道である。ジェシカは白い服の少女や幻覚じみたものを眼にするが、治癒したのだと思われたいので、我慢する。家にはドロップアウトした女がいて、この女は夫とその友人へ秋波を送り、男たちもキャッチする。ジェシカもまた女にただならぬ好奇心を抱く。やがて骨董品屋の男が死体で見つかったり、少女が幻覚ではなかったなどのシーケンスが挟まれるが、ジェシカの怯え方に男たちはドン引きしてしまう。理不尽なまでに追い込まれたジェシカは屋敷そばの池で死にきれぬ怨霊に怯えるが、じっさいは吸血鬼女が支配する町であることが判明するにいたり、絶望的な脱出を試みる。

ジェシカの脚が素晴らしいので、吸血鬼女の性的魅力がよく掴めないという私的事情があって、男どもの堕ちた道というのが、意外に安っぽいのでジェシカがたいそう不憫に思えるという神経症的ホラーである。

 

岸川真