kshinshin's blog

ヨモヤマ話

映画「ゴーストハンターズ」

子どもの頃に観た映画で、たしか「エイリアン2」と同時期だったかと思う。だとすると中1の頃で、こういうチャイナタウン=ネオンPlusエキゾチックという造形が「ブレードランナー」であったり「48時間」であったりする時期で、ああそうかと納得する。

映画そのものは馬鹿げた設定と迂闊な人物たちの織りなすドタバタ活劇で、いま、これを喜べない自分を不幸に思う。兎にも角にもヒロインの二人はなかなかイケる感じで、他の男たちの貧相さは笑える。その貧相さは狙ったものとおぼしく、そこで笑えただけでもまだ自分のガキっぽさは失われていないと、慰められる。

映画を眺めることにおいて、ガキっぽさを失うというのは大変な損失である。諸氏よ、ガキっぽさを失わぬことを切に祈る。

さて、カート・ラッセルだが、いまや「デス・プルーフ」において全世界を代表する名優に鳴ったと思っているのだが、ここではやはり、優れた俳優ぶりを見せてくれている。タフで馬鹿で繊細というのを演じるのは難しい。80年代アクション俳優たちはメル・ギブソンは「リーサル・ウェポン」の1作目、「マッドマックス」1,2において成功を果たしているが、肉体の重いスタローンやシュワルツネッガーは目指しかけて挫折した。注記しておくと、シュワルツネッガーは努力の果てに「サボタージュ」でその粋に達したと思う。おめでとうシュワルツネッガー。

話を戻すが、カート・ラッセルが名優となった「デス・プルーフ」の最高の演技は追い詰められて美女たちに「ごめんなさい!」と謝る場面だ。素直に反省し、生きたいと思うことは大切で、それが1割ほど騙し討ちを狙ったものであっても、こうは謝れない。名場面であり、俳優の頂点を極めた演技だ。

この「ゴーストハンターズ」での名演技はラストのキスをしないところだろうか。はたまた自分で撃った天井の欠片に頭をぶつけて昏倒する場面だろうか。いや、やはり白眉なのは、井戸に落ちる寸前でソロソロと坂をあがるあの顔と動きだろう。やや内股気味に冷や汗をかいて歩く姿は絶品だ。

岸川真